2022年05月
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AI分野で専門家のスキルアップ、再教育促進に向けプログラム実施 インド

インド電子情報技術省(MeitY)は、全国ソフトウェア・サービス企業協会(NASSCOM: National Association of Software and Services Companies)と共同で進めているFutureSkills PRIME(FSP)というプログラムの受講状況などについて明らかにした。3月30日付発表。

これは人工知能(AI)を含む10の新興技術分野における IT 専門家のスキルアップ、再教育のための B2Cフレームワークで、発表によると、これまでに70万人の受講者がFSPポータルに登録し、そのうち12万人がすでにコースを終了した。さらに、多くの人材が、国立電子情報技術機関(NIELIT:National Institute of Electronics & Information Technology)および先進コンピューティング開発センター(C-DAC:Centre for Development of Advanced Computing)でのトレーニングを受講中であり、AI分野では、36,528人が技術深化コースに、47,744人が基礎コースに登録している。

このイニシァティブは、Tier 2およびTier 3都市(*)を含む市民のAI分野におけるデジタル化対応能力の開発に焦点を当てたものだ。FSPプログラムは、全国規模のデジタルスキル研修のための「アグリゲーター・オブ・アグリゲーター」方式を採用し、オンラインB2Cのeコマースプラットフォームとして運営されており、Tier 2およびTier 3都市の市民もこのプログラムに参加することが可能になっている。また、物理的・デジタル的な接続をさらに強化するため、全国に広がる40のC-DAC/NIELITセンターが、主要なリソースセンターとして、ハブ&スポーク方式で混合ラーニングのプログラムを制度化している。

さらに、FSPプログラムは、新興技術の再教育やスキルアップを目指すことで、現在の仕事を続けながら将来に向けた能力を高め、将来の仕事への新しい道筋を見出すことを目標としており、また、破壊的な新興技術によって仕事を失った人もターゲットにしている。このプログラムでは、プラットフォーム上の「Career Prime」ウェブページや、IT-ITeS(情報技術対応サービス)の仕事、インターンシップ、実習、ハッカソンなどの情報を提供する統合「Career Portal」など、雇用との連携も考慮されている。

FSPでは、優秀と認定されれば、経済的弱者を含む学習者にインセンティブが与えられる。このインセンティブは、学習者がオンラインでのスキルアップ/再スキルアッププログラムを成功裏に完了するよう動機付けるものだ。

インド政府は2018年6月に「人工知能の国家戦略」を発表し、国内のAIイニシアチブをまとめた「国家AIポータル」(National AI Portal)を立ち上げた。さらに、国内の電子システム設計・製造(ESDM: Electronics System Design & Manufacturing)およびIT/IT対応サービス(IT/IT Enabled Services: IT/ITES)分野における博士号取得者数を増加させるため、「Visvesvaraya PhD Scheme」もスタートした。

青少年のためのAIの責任ある使用に関する国家プログラム:若者のAI対応を可能にして技能ギャップを減らすことを目的として、政府は産業界のパートナーと、公立学校の子供たちにAIの認識を促す取組みも開始した。その第1フェーズでは、35の州/直轄地域の2,252校から50,666人の生徒と2536人の教師がAIに関するオリエンテーションに参加。最終の第3フェーズでは、上位20名の学生が全国大会で自分たちのソリューションを披露した。

また政府は、研究を通じてイノベーションを促進するために、AIを含む様々な新興技術に関する「センター・オブ・エクセレンス」(COE)を複数設立し、新興企業、企業、ベンチャーキャピタル、政府、大学など様々な機関をネットワークし革新的なソリューションを開発している。

同国の科学技術庁(DST)は、研究開発、人材育成、技術開発、起業家精神、国際協力などを促進するため、「学際サイバーフィジカルシステムに関する国家ミッション」(NM-ICPS: National Mission on Interdisciplinary Cyber-Physical Systems)を実施し、機械学習やAIなどの先端技術に関する25の技術革新ハブが全国の著名な研究機関に設立された。

インド政府は、米国、英国、欧州連合(EU)、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、メキシコ、ニュージーランド、韓国、シンガポールといった主要経済国の一員として、「AIに関するグローバル・パートナーシップ」(GPAI : Global Partnership on Artificial Intelligence)に創設メンバーとして参加した。

2020年に政府は、社会エンパワーメントの為の責任あるAI(RAISE: Responsible AI for Social Empowerment)というイベントを開催した。これは責任あるAIによる社会変革、インクルージョン、エンパワーメントのためのビジョンとロードマップを推進するための人工知能に関する初の世界規模の会議であり、147カ国から学術、研究、産業、政府代表の79,000人強の関係者が参加し、21カ国からは320人の著名な講演者も参加した。

以上のように、インド政府はAI関連技術の習得が国民の課題とらえ、草の根レベルを始めとして、様々な施策を実施している。

(*)人口による都市の規模分類(Tier):

  • Tier 1: 100,000人以上
  • Tier 2: 50,000~99,999人
  • Tier 3: 20,000~49,999人
  • Tier 4: 10,000~19,999人
  • Tier 5: 5,000~ 9,999人
  • Tier 6: 5,000人未満

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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