様々な分野で人工知能(AI)の活用が進む中で今後、プライバシーや権利といった重要な問題が次々と浮上している。インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiは4月11日付で、AIについて考慮すべき社会的な側面について指摘した。
2022年は「AIの年」、つまりAI関連技術が実験段階から実用段階に移行する年になると予測した論文が有名雑誌に複数掲載された。
その中で、AIが今後、大きな影響を与えると思われる分野として、
―を挙げる。
ロジスティクスやサプライチェーン分野ではパンデミックにより通常の流通が阻害され、世界情勢による不透明さが影を落としているが、AIがより機敏な意思決定を可能にすると期待されている。労働環境もパンデミックにより仕事のリモート化や自動化などの変化が起こっているが、AIを適切に使い、従来のオフィス環境と自動化を組み合わせたハイブリッドな形態を実現することが重要になると思われる。
またパンデミックによるリモート化やデジタル化が進むにつれ、サイバー攻撃の危険性も高まっている。AIはサイバー攻撃の予測や検知などで大きな役割を果たす。
一方、以下のようにAIの発展に伴って生じる社会的な側面もある。
―などだ。
AI倫理はAIの技術発展にともなうプラスとマイナスの両面を考慮するコンセプトで、AIを適用するうえでの原則、規範、ガイドラインづくりが必要である。またAIは公平であるべきで、AIのソリューションにバイアスが入り込まないようにすることも重要である。
AIはデータを重視するあまり、開発にあたってデータの守秘性や個人のプライバシーを無視する可能性もある。このため、企業や政府がプライバシー保護のために積極的に動く必要がある。AIはそのシステムの背景が一般には公開されないことが多いが、AIの開発背景を公開し、研究者がその機能を説明できる透明性が必要になるAIがどのような予測に基づき、どのような状況が限界値であるのかなどの情報公開も、AIの信頼性を高めるうえで重要である。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部