インドのDocty社が2025年までにインド最大のB2C(Business-to-Consumer)ヘルスケア・プラットフォームを構築するために、インド国内合計100カ所にデジタル・ヘルスケア用のネットワーク端末を設置することが明らかになった。このプラットフォームはインドの農村人口の65%をカバーするという。インドの人工知能(AI)関連ポータルサイトのINDIAaiが4月22日に伝えた。
インドでは、へき地に住む貧困層が質の高い医療を受けられないという問題があり、そうした地域にヘルスケアを提供する方法が模索されてきた。
その解決策として、遠隔医療プラットフォームであるDocty.aiを提供するDocty社は、テランガナ、アンドラプラデシュ、マハラシュトラの3州の合計100カ所にデジタル・ヘルスケア用のネットワーク端末を設置する。すでに20カ所で稼働し始めている。同社は端末設置に向けて100以上の店舗との提携を結んでいる。
国内の隅々までデジタル・ヘルスケアを行き渡させるためにはAIや機械学習の力が不可欠である。その代表が、Docty社が開発した感情インデックス(emotion index)だ。顔認識機能を使って患者の感情的な状態を評価し、医師が患者の状態を理解して適切な診断を下せるようにサポートする。もう一つの例は、数々の質問に対する回答に基づいて患者の症状を理解していく症状チェッカー(symptom checker)。この症状チェッカーは医師にとって替わるものではなく、AIを使ったデータを参考に、医師が正確で安全な医療アドバイスを患者に提供できるようサポートする。また同社はウェアラブル・デバイスの導入も積極的に進めている。
へき地でのデジタル・ヘルスケアの提供には、専門家の不足、デジタル・インフラの未整備、デジタル機器に不慣れな利用者などの課題がある。このため、Docty社は現地にサポート・センターを設置し、患者がネットワーク端末のデジタル・ヘルス機能を利用できるようにサポートしていく予定だ。
Docty社の共同創立者で最高執行責任者(COO)のラミヤ・サブラマニアン(Ramya Subramanian)氏は「デジタル・ヘルスケアは途方もなく大きな作業で、州や国のサポートなしでは実現できません。利用者にDocty.aiのようなプラットフォームの存在を周知することも重要です」と語る。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部