インド工科大学ジョードプル校(IIT-J)と米国・西ミシガン大学の研究者が、機械学習(ML)の技術を使って新生児や乳児の死亡率を減少させるための早期警戒システムを開発した。インドの人工知能(AI)関連のポータルサイトINDIAaiが5月30日に伝えた。研究成果は学術誌の Applied Economics に掲載された。
乳幼児の死亡率削減は、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の一環。これまでの研究で、開発途上国における乳幼児死亡率の原因の1つは、医療従事者の臨床知識の欠如であることが分かっている。そこで今回、IIT-JのAI・データサイエンス学部のドゥイーポボティ・ブラフマ(Dweepobotee Brahma)助教授と西ミシガン大学のデバスリ・ムケルジー(Debasri Mukherjee)教授は、乳幼児の死亡率につながる早期徴候を特定し、その情報を地域の医療従事者に提供するための共同研究を行った。
研究では、インドの全国世帯調査データに基づいて、乳幼児死亡の早期徴候について、
― のカテゴリーに分類した。
これらの早期徴候は高度な医療知識を必要とせずに判断でき、地域の医療従事者が容易に活用できる。研究にはMLの幅広いアルゴリズムを使い、長子であるか、貧困家庭であるか、低出産体重であるか、などの項目の相対的な重要度を検討した。
今後、より詳細な臨床・社会経済的データとともにスクリーニングを円滑にし、地域の医療従事者が予測因子を参照して危険度の高い乳幼児を見つけ、より詳細な診断ができる医師に照会するシステムの構築を目指す。ブラフマ助教授は、「地域の医療従事者が乳幼児死亡率の徴候を早期に見つける手助けができれば、インドが持続可能な開発目標のゴールに至るための大きな力になります」と研究結果の波及効果に期待する。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部