インド工科大学マドラス校(IIT-M)は6月6日、同校の研究者らが腐敗槽を清掃するロボットを開発したことを発表した。これをタミル・ナードゥ州内10カ所に設置する。
HomoSEPと名付けられたロボットを使えば、人間が手動で腐敗槽の清掃をする必要がなくなる。最初の2台は、腐敗槽清掃の機械化を訴えてきたNGOグループを通じて、タミル・ナードゥ州の自助グループに提供された。この自助グループは、夫を腐敗槽清掃作業で亡くした2人の女性が率いている。次のステップとして、グジャラート州およびマハーラーシュトラ州での設置が検討されている。
腐敗槽の3分の2は人間の排泄物で満たされており、毒性が高い。インド政府は人間による清掃作業を禁止しているが、現在でもこの慣行は続いており、毎年数百名の清掃員が腐敗槽の清掃作業中に命を落としている。
HomoSEPは、腐敗槽層内で固まった沈殿物を独自に開発された回転刃メカニズムで均一化したうえでスラリーを吸引する。清掃員には操作トレーニングと安全性に関するガイダンスが提供される。HomoSEPを使用すれば、人間がこの清掃作業を行う必要がなくなるうえ、ロボットを所有する清掃員や家族が、自動腐敗槽清掃の起業家に転身できる可能性もある。
HomoSEPは当初、IIT-Mの大学院生が同校の社会貢献プロジェクト・イニチアチブから補助金を得て開発し、2019年にその成果を同校のイベントで発表した。その後、IIT-Mの研究者らがインドのスタートアップ企業、天然ガス企業、テクノロジー・サービス企業、投資会社などのサポートを得て開発・製造を続けてきた。
IIT-Mのプラブ・ラジャボパル(Prabhu Rajabopal)教授は、「HomoSEPプロジェクトは、鍵となるステークホルダーが集結し、社会における重要で差し迫った問題の解決策を講じる、という点でユニークです。この腐敗槽に関する問題は規模が大きく複雑ですが、我々のプロジェクトが、他の人々がこの問題を解決しようと思うきっかけになればと思います」と期待を込めた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部