インド科学技術省は、流体力学の新しい実験のフレームワークを開発した。これにより、固体粒子を単純な液体にかなりの割合で混合することによって形成される無秩序な軟質固体の変形に関する説明を可能にした。6月14日付け発表。この研究成果は Communications Physics Journal of Nature 誌に発表された。
このような粒状の状態・形態は、例えば、パイプラインを長い距離流れる乾燥した穀物だけでなく、地震や地滑りなどの壊滅的な自然現象などの中にも存在しており、地震や地滑りなど自然現象の壊滅的な被害や損害を最小限に抑えるために早期警告システムの開発に貢献することが期待されている。
発表されたシステムは、コメなど粒状の穀物で構成されている。コメ粒は容器を振ることで容器内にうまく密に詰めることができるが、それは振動から生じる力により、粒子が臨界圧縮度に達するまで徐々に圧縮されるからだ。このような臨界圧縮からは、粒子間の摩擦、粒子の形状、粘着性などから生じる粒子間の相互作用に関する様々な情報が得られる。
高密度懸濁(けんだく)液における複雑な流動挙動は粒子間相互作用によって決定されることは以前から知られていたが、流動挙動と粒子間相互作用の間の定量的相関は解明されていなかった。そこで、科学技術庁(DST)傘下のラマン研究所(Raman Research Institute)は、流体力学の概念とジャミング遷移と呼ばれる十分に高い圧縮で、粒子が徐々に動かなくなる方法を組み合わせた新しい実験のフレームワークを提案した。
それは、単純な流体に粒状粒子を分散させることで形成される無秩序な軟質固体の変形と破壊について説明するため、流れの挙動と粒子間の相互作用の間に定量的な相関関係を確立し、広いパラメータ範囲にわたって検証するものだ。米粒の圧縮から発想された概念を高密度の懸濁液に応用し、さらに、界面活性剤(本質的には石鹸分子)を使用して粒子間相互作用を調整することによって確認された。
左と右の画像は両方ともパラフィンオイルに分散したコーンスターチ(CS)の粒子。左側では、CS粒子が油に分散するとクラスターを形成することが分かる。しかし、界面活性剤を加えることでCS粒子を効率的にパックさせることができる(右図)。黄色のスケールバーは75ミクロンの長さを示し、画像は20倍の対物レンズを備えたレーザー走査型共焦点顕微鏡を使用して撮影。粒子はフルオレセイン色素を使用して蛍光標識されている。(画像はPIBリリースより)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部