2022年07月
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建設廃材や農業廃棄物―持続可能なコンクリートビルに再利用へ インド工科大学マドラス校で研究

インド工科大学マドラス校(IIT-M)が6月15日、同校の研究者が農作業や建設作業で生じた廃棄物を削減および再利用する技術を開発中であると発表した。

国連環境計画(UNEP)によると、燃料の燃焼により排出される二酸化酸素(CO2)の40%近くはビルの建設作業によるものだという。そのため、各国が環境にやさしい建設素材の開発を進めている中で、同時に現在既に蓄積している建設廃材の再利用も重要視されている。インドでは数十億トンの建設廃材が発生している。農作業でも膨大な量の廃棄物が発生しており、そのうちココナツファイバー、バガス(サトウキビの残滓)飛灰など、建築素材として再利用されているものもある。

IIT-Mには、低炭素および無駄のない建設を目指す研究センター (TLC2)があり、建設廃材や農業廃棄物を持続可能なコンクリートビルに再利用するための研究を行っている。同センターでは現在、政府・民間企業が利用できるインド初のセメント・骨材用テストベッドの設置が進められており、完成すれば、様々な業界で発生する廃棄物に関する政策や標準の設定、建設作業で発生する廃棄物の削減などをリードしていく予定。

同センターでは、コンピュータービジョンによって再利用可能な素材を廃棄物から選別するなどの研究・開発を行っている。また、太陽エネルギーを使ったコンクリートの再利用、ヤシ油を使ったコンクリート舗道の強化、再利用アスファルトを使ったコンクリート骨材の製造などの可能性も検討中である。英国のブルネル大学とは、建設・解体廃材のコンクリートを高付加価値・ゼロ廃棄物として再利用するためのフレームワークづくりを共同で進めている。

TLC2をリードするマヌ・サンサナム(Manu Santhanam)教授は、TLC2の目標について「インドで低炭素や無駄のない建設技術に関心を持つ人々が集結する場所となることです」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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