インドの研究者らが心臓外科治療に、人工知能(AI)や機械学習(ML)を使った予測機能を導入する研究を進めていることが明らかになった。インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiが6月22日に伝えた。
AIやMLは、患者の死亡率、集中治療室(ICU)での入院期間など、医療における危機的な症状の予測に役立つと考えられている。このため、インドの医学教育・研究大学院(PGIMER)は、AIやMLの医療への適用について研究を推進している。
インドのニュースメディアであるインディアン・エクスプレス(Indian Express)によると、PGIMERの麻酔・集中治療学部のGDプリ(GD Puri)教授のチームが、医学分野におけるAI/MLの導入について研究を進めている。同学部のラジャラジャン・ガネシャン(Rajarajan Ganeshan)教授が研究をリードし、インド工科大学ローパル校(IIT-R)の心臓血管外科の教授らがこのプロジェクトをサポートしている。
多彩なメンバーからなるこのチームは現在、従来の麻酔情報管理システム(AIMS)と併用しながら意思決定をサポートする、新たな予測システムを開発中。AIMSは既にPGIMERの先進心臓センターの心臓血管外科手術で使用されている。新しい予測システムにより、手術後のケアの質を向上させてリソースを効率的に使い、また副作用の発生率を予測できるようになる。
開発されたソフトウェアプログラムの著作権申請書によると、このソフトウェアは患者のカルテから必要な情報を読み込みことができ、将来的には医療分野で使用するために必要な大量のコンピューティング能力に対応するため、スーパーコンピューターを使うことも計画されている。最近、このグループはインドが国として進めているスーパーコンピューティング推進プログラムから開発補助金を受け取り、心臓外科分野での使用の可能性がさらに高まった。
プリ教授は、「我々はインドのデジタル化(Digital India)およびメイク・イン・インディア(Make in India)政策に取り組んでいます。これらの政策により、多分野間の協力による新しい技術分野が形成されていくでしょう」と将来に期待する。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部