インドの研究チームが161光年離れた惑星の化学組成について新たな発見をした。科学誌 nature india が7月12日に伝えた。研究成果は学術誌 Journal of Fluid Mechanics に掲載された。
これまで5,000個以上の太陽系外惑星が確認されており、地球から遠く離れた宇宙での地球外生命体の探索に関心が集まっている。しかし、惑星そのものがどのように形成されるかさえ、まだほとんど解明されていない。この謎を解くため、インド科学教育研究大学(IISER)のリトン・マジュムダー(Liton Majumdar)助教とスパンダン・ダッシュ(Spandan Dash)氏が、太陽に似た惑星「HD 209458」の周りを回る惑星「HD 209458b」の化学組成を、数理モデルを使って分析した。
IISERのチームは32種類の大気組成プロファイルに基づき、HD 209458bの大気にメタン、アンモニア、シアン化水素、アセチレンが豊富に含まれることを発見した。チームはこの結果から、HD 209458bは温度が88~28ケルビン度の範囲で温度が変動する原始惑星系円盤からガスを吸収してできたと推測した。
当時、この原始惑星系円盤は、炭素や酸素を豊富に含んでいたと考えられる。米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡の画像でもHD 209458bの大気にはメタンを含まれていることが確認され、近くの惑星からの熱によって大量のガスを宇宙空間に放出していることが分かった。チームの計算によると、HD 209458bは1秒あたり1万トンの水素ガスを失っているという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部