科学者チームが赤外線リモートセンシングを使って、ヒンドゥスターン平野で冬季に発生する霧の高解像度データを取得した。科学誌 nature india が7月11日に伝えた。研究成果は学術誌 Remote Sensing of Environment に掲載された。
インド、ネパール、パキスタン、バングラデシュにまたがるヒンドゥスターン平野は、冬になると霧に覆われ、列車や飛行機などの交通網に支障をきたし、数百万人の生活に影響を与える。大気汚染や湿度が、この広範囲で持続的に発生する霧の一因と考えられている。
今回、米国環境防衛基金(EDF)のリテシュ・ゴータム(Ritesh Gautam)博士とパンディット・ディーンダヤル石油大学(PDPU)のマノジ・シン(Manoj Singh)博士が、霧、気象学、大気汚染を関連付けた霧検知アルゴリズムを開発した。研究者らはこのアルゴリズムを、米航空宇宙局(NASA)のMODIS(衛星TerraとAquaに搭載された地球観測センサー)の観測データに適用し、1 km × 1 kmの空間解像度のデータを取得することに成功した。
その結果、霧が最も頻繁に発生するのはインド・ネパール国境のテライ地域ということと、さらに北部のウッタル・プラデーシュ州やビハール州での霧の発生度は首都デリーよりも高いことが判明した。従来の衛星データでは日中の霧の変化が分からなかったが、博士らが開発した手法により、平面的および経時的な霧の変化が観察できるようになった。また、衛星から取得したデータは、13カ所の地上データと合わせてチェックすることで、政府や航空会社がヒンドゥスターン平野の霧の発生やそのサイズを予測できるようになった。
マドハヴァン・ナイ―ル・ラジ―ヴァン(Madhavan Nair Rajeevan)元地球科学相は、「この研究結果により、霧発生の仕組みや、霧が農業や交通に与える影響をさらに解明できるでしょう」と期待する。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部