インド工科大学マドラス校(IIT-M)は、同校物理学科のマドゥーラ・ゴーシュ・ダスティダール(Madhura Ghosh Dastidar)氏等の研究グループは量子技術分野における進展について論じた最近のレビュー論文について伝えた。8月23日付け。この論文は、科学誌 Nanoscale に掲載された。

量子エミッターや量子検出器は、光子を用いる量子技術である。量子通信、量子計算、量子センシング、量子バイオメディカルなどの分野で幅広く利用されている。そのような量子技術分野において重要とされる検出器の素材として、2次元ファンデルワールス(2D-vdW)材料と呼ばれる物質が有望視されている。

この材料は、薄い原子層がファンデルワールス力により重なった構造を持つ。ヘテロ構造の形成や物理的特性の高度な制御など、多くの利点を持つ。また、調整可能な光電子特性を持ち、光源と統合することも可能である。

ダスティダール氏らは、2D-vdW材料について世界中のさまざまな研究グループが行った研究を調査した。六方晶窒化ホウ素、遷移金属ダイカルコゲナイド、カノニカルグラフェン、およびそれらのヘテロ構造など、特定の材料プラットフォームに基づく量子エミッターや量子検出器に関する研究をまとめ、2D-vdW材料の多用途性を示した。これらの材料は、単一光子の生成と検出に有用な特性を持つ。

2D-vdW材料が実用化されるには、特に生成と検出の両分野においてさらなる研究が必要であるとして、ダスティダール氏らは次なる探求分野を提示している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部