2022年10月
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共存とは人間にも動物にも、不快感の中で生きることー野生動物保護へ、遭遇の仕方から共存方法を研究 インド

インドの研究者たちは野生動物を保護するために、さまざまな状況における共存方法を研究し、人間と野生動物の遭遇を改善する方法を模索している。科学誌 nature india が8月30日に伝えた。

インド国内のゾウの80%以上は保護区外に生息し、人間と生活空間を共有している。時折起こる摩擦により、ゾウが悪者扱いされて追い出される可能性がある。安全な共存方法は野生動物保護のための大切なトピックだ。非営利団体ショラ・トラスト(The Shola Trust)は、そのような対立をなくすことに注力している。現在、彼らはゾウの行動をマッピングし、人間との共存を乱さないようにしている。

最近、研究者たちが協力し、共存の考えを主流化するために共存コンソーシアム(Coexistence Consortium)を設立した。遠く離れた森林保護区に閉じ込められた野生動物を保護するだけではなく、人間の周りにある自然や動物とうまく共存するように、自然保護のパラダイムを再定義することを目的とする。

彼らは、共存が快適であるという考えを覆そうとしている。ショラ・トラストの研究者であるタルシュ・テーカイカラ(Tarsh Thekaekara)氏は、「共存とは、人間にとっても動物にとっても、不快感とともに生きることなのです」と話す。またコンソーシアムのディレクターであるアリトラ・クシェットリー(Aritra Kshettry)氏は、現実には人間と野生動物の間で必ずしも調和が取れているとは限らないとし、「寛容と相互適応をよく理解することは、共存に向けて互いに順応することに役立つでしょう」と語る。

インドには世界のアジアゾウとトラの3分の2が生息する。1平方キロメートル当たり400人以上の高い人口密度の中で、14億人と空間を共有している。大型哺乳類であるゾウは行動範囲が広く、被害は広範囲で重大になる可能性がある。

一方、ヒョウとの共存は大きく事情が異なる。100平方キロメートルの土地に13頭のヒョウが生息している。研究によって被害のある遭遇はほとんど偶発的で、ヒョウの自衛によることが分かった。被害軽減策として、かつてプランテーション作業者が行っていた騒音による警告を採用した。最大の問題はヒョウが家畜を食料にしていたことであるが、損失を補償する家畜保険プログラムが報復によるヒョウの被害をなくすことに成功している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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