インド工科大学マドラス校(IIT-M)は、同大機械工学科のヒマンシュ・パタック(Himanshu Pathak)氏、ティビン・M・トーマス(Tibin M. Thomas)氏、パラブ・シンハ・マハパトラ(Pallab Sinha Mahapatra)教授が、ポリジメチルシロキサン(PDMS)と呼ばれる軟質ポリマー表面に形成する水の凝集の挙動を明らかにしたと発表した。9月13日付け。研究成果は学術誌 Chemical Engineering Science に掲載された。
液体が物質の表面で凝縮する現象は非常に重要である。発電所や造水装置、脱塩装置、冷却装置、空調機器では、疎水性のある物質の表面で水の凝縮を生じる。これまで硬い物質の表面で起こる凝縮現象はよく研究されていたが、柔らかな物質の表面で起こる凝縮現象はあまり研究されてこなかった。
本研究は、軟質ポリマーの一種であるPDMSについて、弾性せん断剛性の尺度であるせん断弾性率に基づき、3つのグループに分け、それぞれの「水滴の被覆率」、「水滴の平均サイズ」、「微小水滴の成長変化」、「結露中に合体した水滴の緩和時間」を調査した。研究によって得られた知見は、化学業界に広く適用可能であり、軟質ポリマー表面の凝縮プロセスの理解を深める。
ジャダブプル大学電力工学科のランジャン・ガングリー(Ranjan Ganguly)教授は、この論文について「異なる熱力学的条件下で水が凝縮する際の成長と形態をうまく説明しています。著者らは、結露の際に合体する水滴の被覆率、水滴の平均サイズ、緩和時間などの属性を綿密に調査しています。これらは全て工学応用に強い関連性を持っています」と指摘。そのうえで「今回得られた知見は、薄い膜上での凝縮やポリマーを用いたマイクロ流体デバイス上の毛細血管凝縮などの先端技術にも関わりがあります。研究は物理学の知見を多く取り入れ、非常に明瞭な解析が行われています。また、実験結果はデータの信頼性を確保するため、科学的厳密さを持って提示されています」と高く評価した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部