インド科学技術省は、熱安定性と光学純度が強化された可視スペクトルの鮮やかな色を反射するソフトで調整可能なフォトニック結晶は、より大きな耐久性を持ち、優れた反射型ディスプレイとレーザーデバイスを作成するための応用可能性を持つことを明らかにした。11月15日付けで発表した。
フォトニック結晶は、構造的な色や動物の反射体の形で自然界に存在し、自然界では、オパール、蝶の羽、孔雀の羽などが存在し独特の虹色を示している。それは、フォトニック結晶は屈折率が周期的に変化する光学ナノ構造体であるからだ。天然結晶の構造が X 線回折を引き起こし、半導体の原子格子 (結晶構造) が電子の伝導性に影響を与えるのと同様に、光の伝搬に影響を与えている。
液晶のブルー相 (BP) はユニークな熱力学的相であり、立方格子構造と流動性の組み合わせによる3Dフォトニック結晶である。数百ナノメートルの格子間隔を持つ立方晶BPは、可視スペクトルの色の選択的反射を示す。BPの持つソフトな刺激応答性により、フォトニック・バンク・ギャップ (PBG、特定の周波数や波長の光が材料内で1、2、あるいは任意の数の偏光方向に伝播するのを妨げる現象)を、低マグニチュードの熱、電場、光学場により効率的に調整できる。
しかし、BPの持つ欠点により、デバイス製造への応用は依然として難しく操作上の困難であった。また、その低い熱安定性に加えて、多結晶性であるためにデバイスへの応用では広い領域で鮮やかな色を実現できなかった。
インド科学技術庁 (DST)傘下の独立研究機関であるナノ・ソフト物質科学センター (Center for Nano and Soft Matter Sciences: CeNS)は、これら2つの課題を正確かつ高い熱安定性で解決し、高光学純度かつ可視スペクトルで動作するBPシステムを開発した。グラフェンの炭素原子の持つ六角形の2次元配列と、液晶分子との間の非共有相互作用に加え、濡れ性の向上により熱安定性と光学純度を向上させたのだ。
人工的に設計、製造されたフォトニック結晶は、反射コーティングから光学コンピューターに至るまで、さまざまな用途への応用が期待されており、PCが可視スペクトル領域で構造色を示すことを可能にする。また、外部刺激に応答して自己組織化、相転移、および分子配向挙動を示す液晶 (LC) 材料は、高度なフォトニック材料、およびデバイスの調整などの点で注目されている。
さらに、BPの光学的および熱的特性の強化で、その改善プロセスは、製造が容易で費用対効果の高い技術を使って達成されており、大規模なアプリケーションに適しているという点でも大変重要な意味を持つ。UV感光色素をシステムに組み込むことで、色の調整可能性がさらに広がっていくものと期待されている。
(上図はPIBリリースより)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部