インド工科大学マンディー校IIT-MD)の研究チームは、脳卒中の初期症状を検出することができる安価で感度の高い装置を開発した。科学誌 nature india が11月25日に伝えた。研究成果は10月1日、学術誌 IEEE Xplore に掲載された。
脳卒中(脳梗塞など)は動脈に血栓が生じ、脳への血流が阻害されることで起こる。脳卒中の兆候を検出するためにMRIやCTスキャンなどが用いられているが、それらは高価であるため、より安価な代替手段が求められている。
そこで研究チームは、発光ダイオード(LED)、フォトダイオード、マイクロコントローラーユニットを搭載した装置を設計した。LEDは組織を透過して酸素化・脱酸素化した血液と相互作用する近赤外線を照射する。フォトダイオードは、組織からの反射光を集めてマイクロコントローラーユニットに送り、ノートパソコンや携帯電話に脳卒中のバイオマーカーを読み取れる信号として表示する。
研究チームは、前腕と成人の脳の前頭葉に脳卒中を引き起こす虚血状態を模倣した実験を行った。その結果、この装置は局所酸素飽和度や局所筋酸素消費量などのバイオマーカーを検出することができた。また、酸素の運搬を担うヘモグロビンの動態を反映することから、局所組織における血流の異常状態を特定するのに役立つという。
この装置は脳卒中が重症化するかなり前に診断するための、ポイント・オブ・ケア(POC)ソリューションの1つであり、研究チームは「この装置を使うことで、脳卒中による死亡者数を減らせる可能性がある」としている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部