インド工科大学マドラス校(IIT―M)は、アンドラ・プラデーシュ州のチットール地区にある農村指定カースト (SC) コミュニティの健康状態をモニタリングし改善するITツールを開発した。このITツールはオープンソースソフトウェアを使用して開発され、家庭レベルの詳細な健康関連情報を毎年収集するために導入された。
このITツールは、優先度の高い健康問題に対する治療と食事指導の影響を客観的に評価するためにも利用された。これにより、治療の有効性と費用に基づいて、地方の最適な医療計画を発展させることができた。
このプロジェクトが行われたのはアンドラ・プラデーシュ州チットール地区のE.パラグッタパリSCとそれに隣接する集落であるパカジャ・マンダルなどだ。これらの集落には約100の指定カースト (SC) 世帯が存在し、各世帯には5~6名の家族が住んでいる。
医師チームのハルナス・チャリー (Harnath Chary) 博士らは、このプロジェクトを効果的に実施するために2カ月に1度村を訪れた。
指定カーストの人々は以前、主にラギ(シコクビエ)、多くの乳製品、魚、その他の魚介類を食していたが、現在は貧困ゆえに乾燥した粗末な食事を余儀なくされている。ダール豆、乳製品、肉はない。その結果、女性と子供は重度の貧血になる。しかし、専門の医療従事者が正しい食事指導を行ったところ、症状を緩和することができた。IIT―Mの取り組みは、人々の健康を改善することを目的としていた。インターネットを利用した交流ライブを隔月で開催し、健康改善に関する特別講義が行われた。
IIT―Mの応用力学部のC.ラクシュマナ・ラオ (C. Lakshmana Rao) 教授はこのプロジェクトの状況について「パイロットテストを実施した村では、詳細なベースライン調査とITツールを用いた健康状態や医療費のマッピングが行われた。目的は、ITツールを用いて治療および食事指導とそのモニタリングを行うことで、優先すべき健康問題に対処し、さらに介入後の健康状態および医療費の調査と分析を行うことだった」と話した。
さらに、ラオ教授が率いる同じチームはAndroidを使用する革新的な健康管理ツール「グラミン・アユルベーダ・モバイルアプリ」を開発した。
このアプリを使うとオンラインで医師の予約し、特許データをデジタル形式で保存し、患者の健康状態と治療記録を追跡することができる。必須の患者フォローアップを管理し、必要であれば定められた再検査を患者に知らせることができる。
このスマートツールについて、ラオ教授は「私たちは、アユルベーダの価値観をしみ込ませることで農村部の人々の生活に変化をもたらし、それが前向きな変革となると信じている。グラミン・アユルベーダは、私たちの家庭で毎日目にするハーブの知識とともに、病気を根治させるアユルベーダ健康相談をオンラインで個別に提供している」としている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部