インド工科大学マドラス校(IIT-M)は1月16日、解体工事で生じるコンクリート廃棄物の再利用に向け、太陽光エネルギーによる処理プロセスを開発したと発表した。コンクリート廃棄物に太陽熱を放射して加熱することによって、機械的破砕に比べて品質の高いコンクリート骨材(RCA)が再生される。この技術を使って造られたコンクリートは、典型的な構造応用の要件を満たした。研究成果は、学術誌 Materials and Structures に掲載された。
処理試験はラジャスタン州の認定NPO法人「ブラーマ・クマリス」のシャンティバン・キャンパス近くにある2017年稼働の「インディア・ワン」太陽熱発電所で行われた。この発電所には太陽光の集光装置770台がある。高圧で水蒸気を発生させて発電する方式で、うち2台がコンクリート廃棄物の処理試験に使われた。
集光した太陽エネルギーの利用によって熱機械的な選鉱が行われる結果、高品質の再生可能な素材が生まれる。これはコンクリートに含まれる石(ブルーメタル)骨材と砂利の代用になる。解体現場のコンクリートを大型反射板と鋳鉄レシーバーで集光した太陽放射を利用することによって550 A°C以上に加熱し、その後、機械で不純物を取り除いて、純粋な骨材と同様の特性を持つ粗密のRCAを生成する。
この論文を執筆したIIT-Mの土木工学部VSラジュ研究所のラビンドラ・ガット(Ravindra Gettu)首席教授は、今回の研究成果について「コンクリート廃棄物の再利用に集光した太陽エネルギーを使用できるという強力な証拠を示した。これにより建設・解体の際の廃棄物処理に伴うエネルギーの消費量が大幅に削減される。また循環型経済の実現に向けた原材料と電力の節約にもつながる」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部