インド科学技術省科学産業研究機構 が所管する先端材料・工程研究所 (CSIR-AMPRI)の研究チームは、携帯電話のチップや医療機器、電子機器に塗布することで、機器から発生する電磁波を減少させ、周囲の機器への干渉を回避できる複合材料を開発したと発表した。科学誌 nature india が2月2日に報告した。研究成果は学術誌 Materials Today Nano に掲載された。
CSIR-AMPRIのシブ・シン(Shiv Singh)氏が率いる研究チームは、泡状構造を持つアルミニウムに酸化ニッケルとナノファイバーを沈着させることで、電磁波を吸収する複合材料を作製した。金属酸化物とナノファイバーをアルミニウムに加えることで、アルミニウムの抵抗が増し、導電率が低下し、電磁波を吸収できるようになるのだ。多数の電磁波がこの材料の多孔質構造を透過するが、その過程で電磁波を散乱させたり吸収したりすることでエネルギーを損失していることを発見した。結果として、電磁波の98%が複合材料に吸収された。
研究チームは、発泡アルミニウムの導電性ネットワークの中で、酸化ニッケルとナノファイバーが障壁として働き、電子の動きを制限することで、導電性が低下し、電磁波の減衰が生じると考えている。携帯電話のチップ、医療機器、航空機に搭載された電子システムなどをこの材料でコーティングすることで電磁波を低減し、他の機器を干渉から保護できる可能性がある。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部