2023年03月
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機械学習技術で何千もの新たな宇宙物体を識別 インド

インド・ムンバイにあるタタ基礎研究所 (Tata Institute of Fundamental Research: TIFR) は、インド南部ケララ州ティルヴァナンタプラム(旧トリヴァンドラム)にあるインド宇宙科学技術研究所 (Indian Institute of Space Science and Technology: IIST) と連携し、機械学習技術を使用して何千もの新しい宇宙物体(オブジェクト)の性質をX線波長で特定したことを発表した。2月17日付け。

近年、何百万もの宇宙物体からの膨大な量の天文データが自由に利用できるようになり、天文学は新しい時代に入った。これは、高品質・性能な天文台による大規模な調査と計画的な観測、およびオープンなデータ・アクセスの結果ともいえる。

これら膨大なデータは、宇宙に関する多くの発見と新しい理解・解釈に大きな可能性を秘めていることは言うまでもない。しかし、これら全てのオブジェクトからデータを手動で調査・分析することは非現実的で、得られたデータから必要な情報を抽出するには、自動化された機械学習技術が不可欠となる。一方で、天文データへのそのような技術の適用・応用は非常に限られており、まだ準備段階にあるというのが実状だ。そこで、人工知能(AI)分野の一部である機械学習(マシンラーニング)技術の応用が、何千もの新しい宇宙物体の識別を可能にしてきている。

今回の研究では、TIFR-IIST合同研究チームは、米国のチャンドラ宇宙天文台でX線を使って観測された数十万もの宇宙物体の観測・分析に機械学習技術を適用したという。これは、新しい技術進歩・革新が基礎科学分野の研究に有効であり、また、革命を起こし得るかを証明したことにもなる。

同チームはこれらの技術を約27万7000個のX線オブジェクトに適用したが、そのほとんどの性質は不明だった。未知の物体の性質を分類することは、特定クラスの物体を発見することと同じともいえる。この研究は、ブラックホール、中性子星、白色矮星、恒星など、何千もの特定クラスの宇宙物体の発見につながり、興味深く新しいオブジェクトに関する多くの詳細な研究であるために、天文学の研究コミュニティに大きな可能性と新たな発見の機会をもたらしたといえる。

また、今回のこの共同研究は、新しい機械学習技術を天文学の基礎研究に適用する最先端の能力を確立するためにも重要であり、現在および将来の観測所からのデータを科学的に利用するために不可欠としている。同研究結果は、王立天文学会(Royal Astronomical Society)月例通知(2023年)に掲載された。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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