2023年03月
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人工ニューラルネットワークモデルを用いて北極海が蓄える熱量を計算 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は1月31日、同校の研究者が人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルを用いて、これまで評価することが難しかった北極海の海洋貯熱量(OHC)の計算を行ったと発表した。研究成果は学術誌 IEEE Access に掲載された。

北極海は、気温の上昇と共に海氷が減少しており、気候変動の影響を最も受けやすい海域として知られている。海氷の継続的な減少は、大気と水の循環に大きな影響を与えており、地球のエネルギー収支の不均衡を引き起こす。海洋貯熱量(OHC)は、このエネルギーの不均衡を理解し分析する手段として重要となる。OHCは通常、海洋観測を通して取得される海水の塩分と水温、水深データから計算される。しかしながら、北極海のこれまでの観測データが十分ではないため、長期的かつ高精度なOHCを計算することができなかった。

そこで、IIT-M海洋工学科のコンデティ・ビジェイ・プラカーシュ(Kondeti Vijay Prakash) 氏とパラニサミー・シャーンムガム (Palanisamy Shanmugam) 教授は、ANNモデルを使って、衛星から取得した海氷の熱力学パラメーターと海洋観測データから計算したOHCを紐付けた。ANNモデルにより、OHCの時空間変動を正確に捉え、水深700メートルまでのOHCを計算することができた。

カナダのビクトリア大学地理学部のナシハ・ジャヒールフセイン(Nasiha Jahirhussain) 博士は、この研究について次のように述べた。

「北極海のOHCは、気候システムを理解するための重要な指標となる。しかし、氷に覆われた海洋表層付近の観測は不十分であるため、熱力学パラメーターを数値化することができなかった。本論文の著者らは、この問題をANNモデルの導入によって解決した。今後、この研究を契機に海面上昇や海氷減少の理解が進むと期待される」

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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