インド・ムンバイにある国際人口科学研究所の研究チームは、国内の貧困層や教育水準の低い世帯において糖尿病の自覚や治療、コントロールが低いとする調査結果を公表した。科学誌 nature india が3月8日に報告した。研究成果は学術誌 Scientific Reports に掲載された。
研究チームは、インドの36州に居住する年齢15才以上の207万8,315人を対象にして、糖尿病の有病率や自覚、治療、コントロールに関する調査を行った。この調査により、インドの糖尿病患者は、所得の低い州より高い州で多く、また、女性は男性より糖尿病を自覚し、治療に取り組んでいることが判明した。調査の対象者は、2019年から2021年にかけて行われた第5回全国家族健康調査のデータベースに基づいて選ばれた。
インド国内の糖尿病の有病率は16.1%であった。有病率の平均値より高い州は15州あり、有病率の最も低い州は、ラージャスターン州の10%であった。糖尿病の自覚においては、地域によってまちまちの結果となり、メガラヤ州の14.4%からテランガナ州の54.4%までの幅あった。
糖尿病の有病率は年齢と共に増加し、女性より男性で高くなった。さらに、糖尿病患者は、都市部の居住者や少人数の家族(3人未満)、結婚している人で多かった。
インドの32.9%の世帯で少なくとも糖尿病患者が1人いる計算となった。経済的に繁栄しているゴア州、アンドラ・プラデシュ州、タミルナドゥ州、ケララ州などにおいては、40%以上の世帯で糖尿病患者が見られた。
調査に関わった研究者らは今回得られた結果について、「インドにおける糖尿病のコントロールと管理のためのモニタリングとガイドラインの作成に役立てることができる」と説明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部