2023年04月
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自己回帰型ニューラルネットワークで新型コロナ流行時に発生した行方不明事件を分析 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は3月14日、同大学の経営学部とロバート・ボッシュ・データサイエンス&AI研究センター(Robert Bosch Centre for Data Science and AI)に所属するナンダン・スダールサナム(Nandan Sudarsanam)教授が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行期間に発生した行方不明事件を精査するため、インド警察サービス(IPS)と協力し、自己回帰型ニューラルネットワーク(ARNN)による分析を行ったと発表した。研究成果は学術誌Natureに掲載された。

ARNNは、刑事裁判や警察科学、犯罪学に関係した実務家や研究者によって利用される自己回帰和分移動平均(ARIMA)モデルを改良したものである。

一般的に、ニューラルネットワークモデルは、データが欠損しているデータセットの予測に強い。従来の統計手法による予測は、高い信頼性と一貫性を維持してきたが、データが不規則になると期待通りに機能しない。また、従来モデルは季節パターンや祭日のような変化があると、正確な結果を出力することが難しい。一方、多層なニューラルネットワークを利用したディープラーニングモデルは、不規則なデータに対して高い信頼性で予測することができる。

今回の分析では、COVID-19の流行によって公共交通の減少と集団移住があり、行方不明者の数が多くなることが分かった。行方不明事件の1日当たりの平均件数は、流行前(2020年1月1日~2020年3月22日)の32件から流行期間(2020年3月23日~2021年12月31日)の55件であり、流行の前後で61%の増加が認められた。

ナンダン・スダールサナム教授らは、行方不明者を速やかに発見するには、捜索願の提出方法の改善、適切な救済センターの設置、捜索における利害関係者の関与が必要であると、結論付けた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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