インド理科大学院(IISc)の計測応用物理学部(Dept. of Instrumentation and Applied Physics: IAP)は、膨大な量の電荷を蓄積できる小型デバイスであるウルトラマイクロ・スーパーキャパシタを開発したことを発表した。3月31日付け。この新たに開発されたキャパシタは、既存のスーパーキャパシタよりもはるかに小型であり、街灯、家電、電気自動車(EV)から医療機器に至るまで、多くの用途に応用できる可能性があるとしている。
現在、これらのデバイスのほとんどはバッテリーで駆動されているが、従来のバッテリーは、時間の経過とともに電荷を蓄える能力を失うため貯蔵寿命が制限されている。一方で、コンデンサはバッテリーとは異なり、例えば携帯電話に電力を供給するために、エネルギーを継続的、安定的に放電し続けることはできない。
そこで、既存のコンデンサで使用されている金属電極の代わりに、電界効果トランジスタ(FET)を電荷コレクタとして使用してスーパーコンデンサを制作したものだ。今回開発されたスーパーキャパシタは、バッテリーとキャパシタの両方の長所、特徴を併せ持ち、大量のエネルギーを蓄えるだけでなく、放出することもできるため、次世代電子デバイスへの応用に大きな期待が持たれている。
現在のコンデンサは通常、金属酸化物ベースの電極を使用しているが、電子移動度が低いという制限がある。IAPの研究者は、二硫化モリブデン(MoS2)とグラフェンの数原子厚の交互層からなるハイブリッド FETを構築することで電子移動度を向上させて金の接点に接続した。そして、2つのFET電極間に固体ゲル電解質を使用した固体スーパーキャパシタとなっており、全体の構造は、二酸化ケイ素/シリコンベースで作られている。
2つのFET電極とイオン媒体であるゲル電解質の2つの異なるシステムは、それぞれ充電容量が異なり、この異なるシステムを統合するため、その設計はとても重要となる。また、FETをスーパーキャパシタの電極として使用することは、キャパシタの電荷を調整するための新しい方法であるという。
デバイスの電気化学キャパシタンスまたは電荷保持容量を測定したところ、特定の条件下で、静電容量が3,000 %も増加することが分かった。対照的に、グラフェンを含まないMoS2のみを含むコンデンサは、同じ条件下で容量が18%しか増加しなかったという。
この研究結果はACS Energy Letters(以下)に掲載された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部