2023年04月
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自己干渉を打ち消す6G用の新しいV2X(Vehicle to Everything)通信用アンテナを設計 インド

インド理科大学院(IISc)は3月24日、同大学院の研究者が、効率的なV2X(Vehicle to Everything)通信を目的とした6G技術に使用するアンテナの設計に取り組んでいることを発表した。研究成果は3報の論文として学術誌 IEEE Access、IEEE Antennas and Wireless Propagation Letters、IEEE Transactions on Circuits and Systems-II に掲載された。

V2X通信は自動車とあらゆるモノをつなげる通信技術の総称で、自動車が他の自動車や路面情報、歩行者情報、その他のネットワークとつながることで、自動運転の実現や、交通事故や道路の混雑削減を目的としている。そのためには、周りの状況変化に応じてより早く、より効率的にデータ通信を行うアンテナが必要になる。しかし、従来の半二重型の無線機システムでは干渉を防ぐため、送信と受信に異なる周波数の信号を用いる必要があり、タイムラグが生じ、通信速度や効率が損なわれるという課題があった。

IISc電気通信工学科のデブディープ・サルカール(Debdeep Sarkar)助教授が率いる研究チームは、より効率的にデータ転送を行う方法として全二重アンテナの研究を進めている。このシステムでは、アンテナに用いる送信機と受信機が自己干渉なしに同じ周波数の信号を同時に操作できるという特徴がある。

自己干渉を打ち消す方法にはパッシブキャンセルとアクティブキャンセルの2つがある。前者は2つのアンテナの距離を離すなど回路を特定の方法で設計するものだ。後者は信号処理ユニットのような追加部品を用意するもので、高価になる可能性がある。

今回開発したアンテナは、パッシブキャンセル型の全二重システムとして動作し、コンパクトでコスト効率が高く、あらゆる機器の回路に簡単に組み込める。アンテナは2つのポートで構成され、それぞれは金属表面に開けられたメタリックビアと呼ばれる穴によって離れている。メタリックビアは電界を乱す効果があり、パッシブキャンセル効果が得られる。

今後は、受動的な干渉を完全に除去できるようにデバイスを最適化し、アンテナ全体のサイズを小さくする予定だ。車両に簡単に取り付けて、高速でデータを送受信できるようにすることで、自動運転や6Gモバイル接続の実現に近づくと考えられている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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