インド工科大学マドラス校(IIT-M)は3月28日、IIT-Mとサウジアラビアのキング・アブドゥルアズィーズ大学の研究者らが、マイクロ流体デバイスのサンプルと試薬を混合する、新しい設計思想に基づくマイクロミキサーを開発したことを発表した。
マイクロ流体技術は、処理工程の正確な制御、分離・検出における優れた分解能と感度、試薬やサンプルの消費量の低減、分析時間の短縮、携帯性、拡張性などさまざまな利点があることが知られている。技術を応用したマイクロ流体デバイスは化学合成、環境モニタリング、ナノ粒子の合成、医薬品開発、バイオメディカル診断などの分野での認知度が高まっている。それに伴いマイクロ流体デバイスにおいてサンプルと試薬を混合するためのマイクロミキサーが重要な要素となっている。
IIT-M海洋工学部のワシム・ラザ(Wasim Raza)博士とアブダズ・サマド(Abdus Samad)教授、そしてキング・アブドゥルアズィーズ大学機械工学科のナズルル・イスラム(Nazrul Islam)博士は新しい設計思想に基づくマイクロミキサーを開発した。非対称な断面を持つ2層の曲線蛇行マイクロミキサーで、ミキシングユニット内のカーブチャネルの半径を変え、回転方向を変えることで非対称な渦を発生させる。従来型の蛇行マイクロミキサーと比較すると有意に高い混合性能を示すことが分かった。さらに混合コスト、広い流量範囲における効率的な混合、製作が容易な形状というメリットを持つことから、今後のマイクロ流体デバイスの開発において有効な選択肢となると期待される。
インドのアリガール・ムスリム大学のムバシール・アフマド・アンサリ(Mubashshir Ahmad Ansari)博士は「今回開発されたマイクロミキサーは圧力損失を最小値に抑えながら混合を促進する革新的な設計だ。この構造は小型化された環境下で質量と熱を効率的に伝達することを可能にし、プロセスの高度化を達成するためのツールとして機能するだろう」と研究の重要性を語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部