インド科学技術省 (DST) 傘下の研究機関である科学技術高等研究所 (Institute of Advanced Study in Science and Technology: IASST) が、新たなゼロ次元機能ナノ構造である還元ホスホレン(黒リン単原子層)量子ドットで構成される尿酸検出装置を開発した。4月25日付け発表。
尿酸は血圧の安定性を維持し、生物の酸化ストレスを軽減する最も重要な抗酸化物質のひとつである。血液中尿酸の通常の範囲は0.14~0.4 mmol dm-3(ミリ・モル毎立方デシメートル)であり、尿の場合では1.5~4.5 mmol dm-3である。しかし、尿酸の産生と排泄のバランスが崩れることに起因する尿酸値の変動は、高尿酸血症などの病気を引き起こし、痛風、2型糖尿病、心血管疾患等のリスク増加や、レッシュ・ナイハン症候群、高血圧や腎障害などにつながる可能性があると言われている。
今回開発された装置はユニークな物理化学的と表面特性を備えており、量子ドットは、生物医学分野での応用で独特の電気的性能を示すため、高性能電気バイオセンサーとして応用できる。同装置の電流-電圧およびインピーダンス (逆電子流) 反応は、尿酸濃度の変化として現れ、尿酸濃度の増加に伴い、電流密度が増加し、最大約1.35×10-6 Aの電流を示すという。
また、尿酸との相互作用では可逆性を示すことから、同デバイスはセンシングの実験に繰り返し使用が可能となる。さらに、酵素を必要としないため、費用対効果においては現在入手可能な他のデバイスよりも優れていると考えられている。また、その装置の応答は、ヒト血清や人工尿などの実際のサンプルを使って調査、実証され、約0.809µMの限界で尿酸を検出した。さらに、この装置はシンプルでポータブル、かつ費用対効果が高く製造も容易な装置であり、早期の実用化が期待される。この研究成果はACS Applied Electronic Materialsに発表された。
(出典:PIB)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部