2023年05月
トップ  > インド科学技術ニュース> 2023年05月

気体媒体中での固体/液体の2つの粒子の衝突に関する研究で成果 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は4月4日、同大学と米国のコーネル大学の研究者らが行った気体媒体中での固体/液体の2つの粒子の衝突についての研究を発表した。

垂直配管や流路を通る気体と固体または気体と液体の懸濁液の流れは、エアロゾル、空気輸送、ライザー反応器での粒子状触媒物質の輸送、更には雲の形成などの自然現象でみられることから、この現象についての研究は重要視され多くの研究が進められている。

IIT-M応用力学部のピジュシュ・パトラ(Pijush Patra)氏とアヌバブ・ロイ(Anubhab Roy)教授、米国のコーネル大学のドナルド・L・コッチ(Donald L. Koch)教授は、気体媒体中での固体/液体の2つの粒子の衝突について研究した。気体中の粒子の衝突は、せん断流(何かしらの力によって引き起こされる流れ)、ファンデルワールス力(2つの粒子間の弱い力)、重力、粒子の慣性の4つの力に依存する。今回の研究では全ての力を考慮するケースと、粒子の慣性を除く他の3つの力を考慮するケースが検討されている。

研究により、単純なせん断流における2つの球状粒子の衝突効率と無次元相対速度、軌道方程式を決定した。また、ファンデルワールス力を考慮した場合としなかった場合の軌道と衝突効率についても明らかにした。これは単純なせん断流中で沈降する一対の液滴/球の理想的な衝突効率を見出した最初の研究である。また、雲物理学の長年の課題であった、乱流大気中で雲粒が相互作用し、暖かい積乱雲で降水が始まる現象の解明に向けた重要なステップとなる。

粒子流の流体力学の国際的な専門家であるインドのジャワハルラール・ネルー先端科学研究所(JNCASR)のガネッシュ・スブラマニアン教授は「この研究は重力場の作用下にあるせん断流における粒子の衝突に関するもので、自然界や産業界の多くの現象に関連しています。関連する最も主要な問題はおそらく積乱雲における雨の発生でしょう」と研究の意義を語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る