2023年06月
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コロナ禍でAIを活用した精神科オンライン診療に注目 インド

インドでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の終息や治療法が見えない中、人工知能(AI)を活用した精神科オンライン診療に注目が集まっている。インドのAI関連のポータルサイトINDIAaiが5月4日付で伝えた。

COVID-19の流行は、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態であった。既存の精神障害を持つ人々に大きな影響を与えただけではなく、ウイルスを恐れた人々が孤立し、ライフスタイルが変化したことで、不安やうつなどストレス障害の発生につながったことが多く報告されている。精神科医のレベルだけでは、社会的な精神不安に対処することは難しく、新しい解決方法が求められている。

ここで注目されているのが、AIやウェアラブルデバイス、ビッグデータなど最新のデジタル技術を活用して、医療やヘルスケアの効果を向上させるデジタルヘルスである。近年のインドの遠隔精神医学の技術は、テレビ会議、電話、オンラインチャットルームなどを利用した同期型(医師と患者が同時に参加する)遠隔相談モデルから、AIを活用した非同期型遠隔精神医学の展開へと発展している。

メンタルヘルスにAIを取り入れることで、さまざまな臨床パラメータの評価を自動化することが可能になった。特に画像診断と行動分析、音響信号、生体信号の評価、知識ベースの方法と網膜検査、精神障害における言語使用の評価などに活用できることが研究で証明されている。AIを使うことで、精神状況を効果的に要約することができ、臨床的な意思決定を行う際のツールとして機能している。

さらに、AIを使用して分析されたビッグデータは、将来的には、診断、患者のモニタリング、フォローアップのためのより良いツールとなると考えられている。そのためにもデータ収集パターンの統一や、倫理的ガイドラインの整備が求められている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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