2023年07月
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インド都市部の交通渋滞を解決へ、研究を報告

インド工科大学マドラス校(IIT-M)の研究者らが、インド都市部において信号待ちとともに発生する交通渋滞を解消する可能性がある方法を発見した。5月16日付け発表。

インドでは、国外で市販されている交通反応型信号ソフトウェアによる交通信号機制御の研究が行われてきた。しかし、これらの実装には多数のセンサーと大規模な交通流データの収集が必要だったため、インドの交通事情ではうまく機能しなかった。インドではさまざまな車両クラスが混在して走行する混合交通状態で、欧米諸国とは交通構成とは大きく異なっていることもあり、独自の研究が求められていた。

IIT-M土木工学科のヒマビンドゥ・マリピニ(Himabindu Maripini)博士、レリタ・ヴァナジャクシ(Lelitha Vanajakshi)博士、バルガヴァ・ラマ・チルクリ(Bhargava Rama Chilukuri)博士らは、4台の車に搭載したプローブから送られる走行時間データを用いて、各信号の最適な「青」と「赤」の切り替えタイミングを算出する研究を行った。これはインド初のプローブベースの需要応答型信号制御の開発となる。

従来の信号制御では、交通流データを入力として用いて最適解を出していたが、この研究では車両クラスによって変動しない移動時間データを用いているのが新しい点だ。Bluetooth、Wi-Fi、Radio Frequency Identificationスキャナーなどさまざまなデータソースを活用して、低コストで効率的に大規模な車両サンプルの走行時間データを取得する。さらにこれらのデータを交通制御アプリケーションに入力して、アルゴリズムを実装することが可能となる。

米国ピッツバーグ大学Swanson School of Engineeringの土木環境工学科のアレクサンダル・ステバノビッチ(Aleksandar Stevanovic)博士は「この研究は、飽和状態に近い信号交差点における交通管理という重要なテーマに取り組んでいる研究です。各交差点の交通量データではなく、車両の走行時間データを用いて信号制御をするアプローチは非常にタイムリーで、飽和混合交通状態における最適な信号制御に大きく貢献することが期待されます」と研究の重要性を認めている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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