2023年07月
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プラスチックによる環境汚染を解決するテクノロジー開発 インド

インド科学技術庁(DST)は、ムンバイにある化学技術研究所 (Institute of Chemical Technology: ICT)がDSTの支援を受けて、廃プラスチックを炭化水素油(HC-Oil)に変換する"ICT-Poly Urja"と呼ばれるプロセスを開発したことを発表した。6月5日付け。

DSTは、材料、デバイス、プロセスを含む技術開発プロジェクトに資金を提供しており、インド政府が協力に推進しているプラスチックの削減、再利用、リサイクルを通じて増大する環境への脅威に対応するため持続可能なさまざまな開発を支援している。

ICT-Poly Urjaは、数種類のポリオレフィン系プラスチック廃棄物を触媒熱液化(Catalytic Thermo Liquefaction: CLT)プロセスに独自に開発し特許取得済みのCu@TiO2触媒を使用して、30分でHC-Oil 300 Cに変換することを可能とする。85% 以上の原料変換率が得られ、発熱量42 MJ/kgの高品質のC(炭素)とH(水素)元素が豊富なHC-Oilが生成される。また、HC-Oilを燃料として燃焼させることで蒸気と電力を発生させることも可能となる。

さまざまな組成の一連の混合ポリオレフィンプラスチック廃棄物サンプルを検査した結果、CTLプロセスを使用することで、プラスチック廃棄物のすべての組み合わせが80%以上のHC-Oil生成で液化できることが判明したという。

発表によると、独自に開発されたこのプロセスを利用して、さまざまな種類のプラスチック廃棄物を最大限の炭素回収率で炭素濃度の高い HC-Oilに変換する車両搭載移動型のパイロットプラントが開発された。同パイロットプラントは、厳格な条件下でなくても稼働し、選択的でリサイクル・再利用が可能で堅牢、さらに無毒で安価な触媒を使って、低コストで廃プラスチックを燃料に変換するオプションとなる。

熱分解やガス化などの従来の技術と比較して、CTLプロセスは適度な操作条件により必要なエネルギーが大幅に減少され、さらにプラントは移動車両に搭載することも可能で、操作とプロセス全体の経済性の面で利点をもたらす。現在、100kg/日のプラスチック廃棄物を炭化水素油に変換する車両搭載パイロットプラントが製造中で、2023年末までに完成する予定。

この"ICT-Poly Urja"プロセスでは、プラスチック廃棄物を利用して発電し、継続的で強靭、かつ利便性やエネルギー効率が高く、かつ環境に配慮した解決策を提供することが期待されている。

(出典:PIB)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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