インド工科大学ガンディナガール校(IIT-G)の研究者を含む国際研究チームは、土地の乾燥が異常に早く進み、深刻な水不足が生じるフラッシュ干ばつによる農業へのリスクが2100年までにインドも含む世界中で著しく高まることが予測されると報告した。科学誌nature indiaが6月2日に伝えた。
IIT-Gの研究者を含む国際研究チームは、さまざまな気候モデルのもとで世界のフラッシュ干ばつリスクを推定し、1850年から2014年までの歴史的なフラッシュ干ばつについてシミュレーションを行った。その結果、今世紀末までにフラッシュ干ばつの発生率が6.0~9.5%上昇することを予測した。今後、2100年にかけて、フラッシュ干ばつの発生リスクは北米とヨーロッパで最大になり、アジア、アフリカ、南米においても顕著な増加が予測された。研究チームは温暖化する機構の中で、干ばつによる農作物への影響は食料システムに大きな圧力を与える可能性があるとしている。
また、インドの研究チームによる別の研究では、大規模なフラッシュ干ばつを土壌の水分や蒸気圧不足と関連付けている。この関連性はフラッシュ干ばつの発生から発達の段階で高くなることが分かっている。さらに、インドで発生したフラッシュ干ばつを引き起こしたモンスーン時の異常高温・異常乾燥の発生と温室効果ガス排出量の直接的な関係を指摘している。21世紀末には、インドにおいて高温・乾燥の極端な現象が約5倍に増加し、深刻なフラッシュ干ばつが約7倍に増加する可能性があるとも言われている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部