2023年07月
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金属とセラミックによるナノヘテロ構造の界面に新たな次元を提供 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は6月13日、同校の研究者らが金属とセラミックによるナノヘテロ構造の界面に原子レベルの化学的グラデーションを作ることにより、構造の特性を制御する上での3次元目を提供できることを発見したと発表した。研究成果は学術誌Applied Surface Scienceと学術誌Computational Materials Scienceに掲載された。

ナノヘテロ構造は、ナノスケールで界面を挟んで元素の化学組成が異なる2つの材料からなる構造のことで、ユニークな特性を持つため、幅広い用途に使われている。金属/セラミックナノヘテロ構造は、生物学的インプラント、携帯電話のさまざまな部品など、日常生活でも応用されている。

IIT-M冶金・材料工学部のサティーシュ・クマール・ヤダヴ(Satyesh Kumar Yadav)教授らの研究チームは、第一原理計算手法の密度汎関数理論(DFT)により、チタンと窒化チタンのナノヘテロ構造において原子レベルの化学的グラデーションを実現できることを示した。化学的グラデーションは陰イオンがセラミックから金属に移動し、続いて金属原子がセラミックに移動することで形成される。

ナノヘテロ構造の元素間の界面は通常2次元として仮定されているが、今回形成された化学的グラデーションのある界面はナノヘテロ構造の特性を制御する上で3次元目となる新たな次元を提供することが可能だ。これにより、これまでにない機械的、熱的、電子的特性を持つ複合材料やナノヘテロ構造を実現することができる。

米国ミシガン大学機械工学科のアミット・ミスラ(Amit Misra)教授は、「ヤダヴ教授の研究グループが開拓した新しいナノ複合材料では、金属とセラミックの界面に化学的グラデーションを作ることが可能なことを示しました。前例のない機械的、熱的、電子的特性を持つ、新しいクラスのナノ工学金属セラミック複合材料の実験的加工を導くことができるでしょう」と本研究の重要性を語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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