2023年08月
トップ  > インド科学技術ニュース> 2023年08月

曲面ディスプレイや折りたたみ式携帯電話等に応用可能―超柔軟複合半導体材料を開発 インド

インド理科大学院(IISc)の材料工学科の研究者たちが、次世代のフレキシブルディスプレイや曲面ディスプレイ、折りたたみ式携帯電話、ウェアラブル電子機器に応用可能な超柔軟複合半導体材料を開発した。7月11日付け発表。研究成果は学術誌Advanced Materials Technologiesに掲載された。

ディスプレイ産業で使用される従来の半導体デバイスは、アモルファスシリコンかアモルファス酸化物でできている。酸化物半導体にポリマーを添加すれば柔軟性が増すが、半導体の性能を損なうことなく添加できる量には限界があり、これまでの研究ではポリマーの添加量は1〜2%までしか報告されていなかった。

IIScの研究者らは、溶液プロセス技術、特にインクジェット印刷を用いて、材料重量の最大40%という大量のポリマーを含む複合半導体材料の作成方法を発見した。この方法では、ポリマー添加による半導体特性の変化は見られず、ポリマーの大量添加により非常に柔軟で折りたたみ可能な複合半導体材料となった。

半導体材料は通常、スパッタリングなどの蒸着技術を用いて製造されるが、研究チームはプラスチックから紙まで、さまざまなフレキシブル基板に材料を堆積させるためにインクジェット印刷を使用している。今回の研究ではカプトンと呼ばれるポリマー材料を使用しているが、導電性、半導体性、絶縁性のいずれかの材料を含む機能性インクを使うことで、あらゆる表面に印刷することが可能だ。

本研究の共著者であるスボ・ダスグプタ(Subho Dasgupta)准教授は、「将来的にこのような印刷半導体は、印刷された有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイのフロントエンドと並ぶことで、印刷により完成するフレキシブルなテレビ画面、ウェアラブル端末、大型の電子看板の製造に使用できるようになるでしょう」と技術の可能性を述べた。研究チームはこの材料の特許を取得し、大量生産に向けて、保存性とデバイスごとの品質管理のテストを行う予定だ。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る