インド東部の農村に住む女性たちは、森林や共有地に生育する野生食品を食べることで、特に作物の収穫前の時期における食生活を改善していることが研究によって明らかになった。科学誌nature indiaが8月7日に伝え、研究成果は学術誌Nature foodに掲載された。
研究チームは、ジャールカンド州パラム地区と西ベンガル州バンクーラ地区の570世帯で収集された女性の食料消費データを分析した。これらの地域は、低木林、熱帯落葉樹林、森林地帯や牧用地などの耕作されていない共有地が特徴となっている。
分析の結果、女性たちは作物の収穫期前である6月から7月にかけて、チャワクルやジュートリーフなどのビタミンAや鉄分が豊富な葉物野菜や、ホッグプラム、ヒョウタン、タケノコなどの果物や野菜に頼っていることが分かった。この時期に野生食品を食べる女性は、食べない女性と比べて、食事の多様性の平均スコアが6月は13%、7月は9%高い結果となった。
また、生殖年齢の女性における貧血の有病率が世界的に最も高い国の1つであるインドでは、夏の終わりにビタミンAなどが含まれているマンゴーを森から収穫することが重要であることも分かった。
本研究の共著者である、ドイツのポツダム気候影響研究所のナタリー・ランブレヒト(Nathalie Lambrecht)氏は「生物多様性保全政策は、健康と福祉における野生植物の重要性を考慮し、森林や共有地にアクセスする先住民や地域コミュニティの権利を守るべきです」と述べた。
ジョージ・インスティテュート・フォー・グローバル・ヘルス・インディアのスパーナ・ゴーシュ-ジェラス(Suparna Ghosh-Jerath)氏は「無視されてきた野生食品の多くは、現代の食生活で消費されている食品よりも栄養価が高いことが多いです。保管給食プログラムでも、栽培農産物だけでなく、森林や空き地、水域で入手できる野生食品にも焦点を当てる必要があります」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部