2023年09月
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子宮頸がんの効果的な治療へ、安価なデバイスを開発 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)の研究者らが、子宮頸がんの治療効果を高める局所的な温熱療法であるハイパーサーミア(HT)を安価に行うことを可能にするデバイスを開発した。8月30日付け発表。

子宮頸がんの早期発見は難しく、発見時に末期的になっていることもある。がんが小さいうちは放射線療法(RT)や化学療法(CT)などの治療を行うが、大きながんに対してはこれらの治療に加えて、悪性腫瘍を選択的に加熱して細胞死を誘導するHTという温熱療法を行うことで、治療効果が高まることが分かっている。

これまで一般的な子宮頸がん治療では、外照射(EBRT)と、外部アンテナを用いたHTの併用が行われてきたが、高価であり、局所進行子宮頸がん(LACC)が社会経済的負担となっているインドのような低中所得国(LMIC)では治療が難しい。

そこで、IIT-M生物工学科のシャビーブ・アハメド(Shabeeb Ahamed KP)氏らは、安価に子宮頸部に局所的な温熱療法を行うための、薄型フレキシブルチョークを備えたフレキシブル同軸ワイヤアンテナを開発した。チョーク設計には、従来のチョークと比較して薄型で優れた電流抑制能力により、子宮頸部内での局所的な電力沈着を確実にするフレキシブルフェライトシートが使用された。アプリケーターの測定結果はシミュレーションとよく一致し、本装置を術後補助療法として腔内温熱療法に使用した場合、局所制御をさらに改善し、がんの原発部位での再発を予防する可能性があることが判明した。

現在、患者由来のモデルを用いて、子宮内のHT治療デリバリー能力の研究が進められている。この共同研究は、インド政府科学技術省の技術開発プログラム(バイオメディカル機器・技術開発)の資金援助を受けている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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