米国シンクタンク「カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)」のインドの政策シンクタンク、カーネギー・インディア(Carnegie India)が9月1日、インド・ベンガルールで8月に開催された20カ国・地域(G20)デジタル経済大臣会合で合意された「デジタル公共インフラ(digital public infrastructure:DPI)」について、合意に至る経緯を詳しく解説する記事を公開した。記事では、合意形成において議長国インドが主導的役割を果たしたことが強調された。
DPIに関するG20での議論はインドの主導で始まり、インド代表が共同議長を務めるデジタル経済ワーキンググループ(DEWG)の4回の会合のほか、インド政府や国連開発計画(UNDP)と世界銀行をはじめとうるDEWGナレッジパートナーの協力を通じて進められた。さらにインドは、米国やEUなどとの二国間貿易交渉の場でも積極的にDPIを推進した。
こうした議長国インドの積極的な取り組みを経て、8月のG20デジタル経済大臣会合では、DPIの重要性を認め、DPIの暫定的な定義やDPIの開発と展開において考慮すべき原則とアプローチを盛り込んだ成果文書が発表された。この成果文書は多くの点において、DPIに関する世界的な行動計画を構築するための枠組みとなる。
DPI推進のための今後の取り組みとして、インドはG20会合で、「One Future Alliance(OFA)」という、政府、民間部門、学術・研究機関、ドナー機関、市民社会組織などのステークホルダーを結集する自発的なDPIイニシアチブの創設を提案した。同記事では、OFAがどのような方向に進むにせよ、世界的なDPI機関の設立を真剣に考慮する必要があると指摘した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部