2023年10月
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ハイブリッド・ナノ粒子の新治療法開発―光で熱が発生、がん細胞死滅へ インド

インド理科大学院(IISc)の研究者らが、金と硫化銅からなるハイブリッド・ナノ粒子を作成し、熱と音波でがん細胞、特に固形腫瘍塊を形成するがん細胞を検出し死滅させる可能性のある新しいアプローチを開発した。9月11日付け発表。研究成果は、学術誌Applied Nano Materialsに掲載された。

これまで硫化銅ナノ粒子を用いたがん診断が注目されていたが、金ナノ粒子はがん細胞を標的にして化学修飾する性質があり、抗がん作用を示してきた。そこで今回、研究チームは2つのナノ粒子を組み合わせたハイブリッド・ナノ粒子を作成し研究に用いた。

従来のナノ粒子は、サイズが大きいため用途が限られていたが、研究チームは新しい還元法を用いて、金粒子を硫化銅の表面に析出させた8nm以下のハイブリッド・ナノ粒子を作成した。この粒子は組織内を容易に移動し、腫瘍に到達する可能性があるという。ナノ粒子が人体内で安全に使用できるかどうかを判断するためには、広範な研究を実施する必要があるが、ナノ粒子のサイズが小さいため、蓄積することなく自然に人体から離脱できると、研究者らは考えている。

このハイブリッド・ナノ粒子は光を当てると、光を吸収して熱を発生させ、がん細胞を死滅させることができる。「これらの粒子は、光熱特性、酸化ストレス特性、光音響特性を有しています」と、IIScの計測応用物理学科(IAP)の准教授で、研究を率いたジャヤ・プラカシュ(Jaya Prakash)氏は言う。これらのナノ粒子はまた、細胞にとって有毒な一重項酸素原子を生成するため、両方のメカニズムでがん細胞を死滅させることが目的だ。

さらにこのナノ粒子は特定のがんの診断にも役立つ。単体のCTスキャンやMRIスキャンなどの既存の方法では、画像を解読するために訓練を受けた放射線学の専門家が必要であるが、ナノ粒子は光を吸収して超音波を発生するため、粒子ががん細胞に到達すれば、高いコントラストでがん細胞を検出することができ、既存の方法より正確な画像解像度だという。

今回の研究では、実験室で肺がんと子宮頸がんの細胞株に対してナノ粒子のテストを行った。今後、研究者らはこの結果を臨床開発につなげる予定。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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