2023年10月
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親油性軌道上の液滴の挙動を評価 マイクロ流体デバイスの設計で前進 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)の研究チームが、個体表面上を流れる液滴の動きに関する研究で成果を挙げた。9月19日付発表。

個体表面上を液滴が流れる現象は、物理学、化学、材料科学、工学などのさまざまな分野で利用されている。マイクロ流体工学の分野では、酵素分析、DNA分析、プロテオミクス、臨床病理学、適切な薬物送達などにミクロン(1000分の1ミリ)以下のサイズの微量流体を操作することが重要である。

液滴を操作する方法には、電気的な方法、化学的な方法、磁気的な方法があるが、液滴を操作して流動させるためには高度な装置が必要となる。研究チームが注目したのは熱毛管現象を利用する方法だ。熱毛管現象では温度を変化させることで、固体表面上で液滴の流れを引き起こす。

研究チームは、IIT-M機械工学部のスリニヴァーサ・サガル・カリチェッティ(Srinivasa Sagar Kalichetty)氏、T. スンダラジャン(T. Sundararajan)教授、アルヴィンド・パッタマッタ(Arvind Pattamatta)教授らで構成。チームは、親油性軌道上の横方向への広がりや閉じ込めによる液滴の熱毛管移動速度向上の限界を理解するための調査を行った。3次元シミュレーションにより、親油性トラックの幅や親油性トラック上の液滴の広がり長さと液滴の移動速度向上の関係を明らかにした。

また、親油性トラック上の液滴の挙動を評価するために、基板温度勾配、液滴体積、トラック内外の接触角を変化させるパラメトリック研究も行った。これらの研究は、サーモキャピラリー・マイグレーションやマイクロ流体システムの設計に役立つという。

ドイツのダルムシュタット工科大学流体力学・空気力学研究所所長のキャメロン・トロペア(Cameron Tropea)教授は、「毛管流や微小流体流というテーマは、私たちの日常生活にはあまり馴染みのないものであるが、工学の分野だけでなく、おそらく自然現象においても非常に重要な分野です。この研究はマイクロ流体デバイスの設計と性能予測における重要な前進です」と評価した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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