インドのCSIR先端材料・工程研究所(CSIR-AMPRI)の研究者らは、ディーゼルトラックの排気ガスから採取されたすすの粒子を用いて、微生物燃料電池の電極を開発したことを発表した。科学誌nature indiaが9月27日に伝え、研究成果は学術誌Chemical Engineering Journalに掲載された。
CSIR-AMPRIのシヴ・シンハ(Shiv Singh)氏率いる科学者らが、ディーゼルトラックの排気ガスから採取したすすには、ナノ・オニオン・リングのような形状のカーボン・ナノ粒子が含まれていた。彼らはこの粒子に特定の塩を添加し、窒素原子と硫黄原子を加え、陽極と陰極の電極を合成した。アノードには電解質として生活排水を、カソードには別の電解質を入れたチャンバーに、この電極を入れて外部回路で接続し微生物燃料電池を作成した。
廃水中に存在する細菌がバイオフィルムを形成し、廃棄物の有機物を分解して電子を発生させ、その電子が外部回路を経由してカソードに移動し、酸素還元反応を引き起こす。この過程で電気が発生するという仕組みだ。
10日後、この燃料電池は排水中の汚染物質の指標である化学的酸素要求量をほぼ70%削減することができ、他の微生物燃料電池を上回った。すす粒子でできた電極材料は安定しており、繰り返し使用してもピーク電流に大きな変化は見られず、持続可能なエネルギー生成・貯蔵方法となる可能性もある。研究者らによるとこの電極はキャパシタなどのエネルギー貯蔵デバイスにも利用できるという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部