インド工科大学マドラス校(IIT-M)の教授陣と学生が、「Device Engineering Labs(DEL)」を通じて基本的な科学・工学の概念を学ぶ体験学習を、農村部の学校に対して普及させる取り組みを行っている。10月11日付発表。
DELは「Teach to Learn」(www.teachtolearn.co.in)が始めたプログラムで、8~10年生、または11年生の生徒を対象とした3年間のカリキュラムだ。日常的なデバイスの背景にある科学的概念を学び、3Dプリンティングを応用しておもちゃやその他の家庭用品を製作する。DELの主要なトレーニングは2つある。
1つ目のデバイス・エンジニアリング・コンセプトでは、機器の分解と組み立て、動作原理、拡張アプリケーションなどを学ぶ。2つ目の3Dプリンティングでは、CAD、基本的なプログラミング、プリンティングなどを学ぶ。これらのカリキュラムは完全に実験的で実践的なものだという。
IIT-Mの25の研究室から集まった200人もの大学院生が、DELのために約30の機器のコンテンツや、トレーニングモジュールを準備し、最近では、30人の学生が農村部の生徒の指導にあたった。
IIT-M応用力学・生体医工学科の教授で、「Teach to Learn」の創設者、ピジュシュ・ゴッシュ(Pijush Ghosh)氏は、「IIT-Mは、この文化を一緒に築き上げるために、地方の学校に働きかけています。何かを作ったり、加工したりする過程で、学生たちはその概念や原理をよりよく理解し、自信を深め、学ぶことをより面白く感じるようになるのです。次世代の若者の科学的素養を大いに高めることができるこの取り組みを、産業界や寄付者が支援してくれることを願っています」と話した。
IIT-Mの学生と農村部の生徒を結びつけることで、学校レベルで「ものづくりの文化」を浸透させ、デザインと製作のスキルを高めること、またこういった授業で得られる経験は、将来、生計を立てるための選択肢にもなり得るため、起業家精神を養うことも目的の1つだ。
現在、DELは、主にチェンガルペット、ティルヴァルール、カンチェプラム、クリシュナギリの13校に設置されており、直接的には約1,000人の生徒に、間接的には2,500人以上の子どもたちに恩恵をもたらしているという。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部