インド工科大学マドラス校(IIT-M)は、インド初のディープテックに特化したベンチャースタジオであるIndusDC社と提携し、脱炭素化に取り組むスタートアップの立ち上げと育成を行うことを発表した。10月18日付。
ベンチャースタジオとは、近年、米国と欧州で注目されるインキュベーションシステムであり、知財の発掘から商業化まで一気通貫して行うものだ。
世界全体で年間40ギガトンの二酸化炭素(CO2)排出削減が急務であり、年間4兆ドル規模のエネルギー転換が必要となる。その実現のために、インドの研究所に眠る脱炭素分野における潜在的な技術革新と多数の知的財産の活用が求められている。
IIT-MとIndusDC社の取り組みは、研究室から直接アイデアを取り入れ、現実世界に変化をもたらすことを目的としている。現在、IIT-Mの卒業生であるクシャント・ウパル(Kushant Uppal)博士が設立したIndusDC社と、IIT-M・エネルギー・コンソーシアム(IIT-M Energy Consortium)が協力し、商業化の第一段階が進行中だ。すでに、次世代冷房、カーボンニュートラル消費者ウェア、先進グリッド規模ストレージの3つの知的財産(IP)が導入されており、さらに3つのIPも評価中だ。
このパートナーシップについて、ウパル博士は「技術的なEIR(アントレプレナー・イン・レジデンス)の指導のもと、技術習熟度レベル(TRL)7/8を目指しています。同時に、性能と経済性に関する商業的ベンチマークも定義しています。このパートナーシップにより、インドのエネルギー転換のきっかけとなる脱炭素スタートアップが市場に出てくることを期待しています」と語った。IndusDC社はエネルギー効率に重点を置いた最先端の脱炭素スタートアップ5社に投資するため、600万米ドル(約5000億ルピー)の最初のファンドの設立を準備している。
IIT-Mエネルギー・コンソーシアム長でIndusDC社の技術委員会メンバーを務めるティアナラヤナン・セシャドリ(Satyanarayanan Seshadri)教授は、「IITのような研究集約型大学には、注目すべきコア技術IPがあります。IndusDC社のようなベンチャー・スタジオは、そのような技術を元にしたスケーラブルなベンチャーを創出することができます」と話した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部