米スタンフォード大学ショレンスタインアジア太平洋研究センター(APARC)とAPARCアジア保健政策プログラム(Asia Health Policy Program:AHPP)が10月18日、インドのデジタルヘルス戦略の発展と、インドの経験が他国における同様の戦略策定にもたらす教訓に焦点を当てたパネルディスカッションを開催した。
「アジア太平洋デジタル保健イノベーション:テクノロジー、信頼、APECの役割」と題し、メインパネリストとして、インドの国家保健庁のキラン・ゴパル・ヴァスカ(Kiran Gopal Vaska)長官とビル&メリンダ・ゲイツ財団のデジタルヘルス・人工知能担当上級戦略責任者CK・チェルヴェットリル(CK Cheruvettolil)氏が参加。シンガポール国立大学(NUS)とAHPPの元フェローがモデレーターを務めた。
インドはアジア太平洋経済協力会議(APEC) 加盟国ではないが、インドの取り組みは、テクノロジーを活用して中所得国における貧困層の健康向上の手本となるものである。ヴァスカ氏は、医療記録、サービス、医療保険の請求の相互運用性に焦点を当てたインドの最新の保険施策を紹介し、インドの全国デジタルIDシステムや国民の医療記録等のデジタル保存制度といった既存のデジタルインフラがこの施策の土台になっていることを強調した。
また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団のチェルヴェットリル氏は、スマートフォンを活用して、インドの地域医療を担う公認社会保健活動家(Accredited Social Health Activist:ASHA)の活動を強化する同財団の戦略について語った。スマートフォンのカメラやセンサー、ストリーミングデータを利用することでASHAは、低出生体重児などの患者の治療を向上させることができる。チェルヴェットリル氏は、ソフトウェアの開発には現地の状況を考慮に入れることが重要であると指摘した。
イベントは、APARCの2023年秋のセミナーシリーズの第2弾として開催された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部