インド科学技術省は、同国ウッタルプラデシュ州にあるバナラス・ヒンドゥー大学(BHU)が新しいハイスループット量子技術の裏付けによる「グリーン水素製造技術」を開発したことを発表した。10月11日付。同技術の活用により、グリーン水素の大量生産が可能となる。
BHUで開発されたこの技術は、環境に優しい代替エネルギーとしてのグリーン水素の利用可能性を実証し、高い陽子の利用可能性と移動性を持つ電荷移動システムを備えたこの次世代型の量子力光触媒を導入したことで、エネルギー生産のための量子触媒の技術を確立したとしている。
インド科学技術庁(DST)の気候変動・クリーンエネルギー部門の責任者アニタ・グプタ博士と気候ディレクターのランジス・クリシュナ・パイ博士によってお披露目されたこの技術の発表会には、全国から多くの著名な専門家が集まった。
この最先端光化学反応器は、太陽エネルギーの捕捉を最大化するために、内蔵の照明アセンブリと外部の凹面反射パネルを備えたデザインとなっており、産業用金属廃棄物を利用した電子注入装置で押し出される連続電子結合陽子供給システムである。また、厳密な最適化を行った結果、実験室でのグリーン水素生成のピーク速度は、量子光触媒10グラムを使い、10分間当たり約1リットルに達したという。
また、同技術で生成される水素ガスは純度が高く、追加的精製が不要であり、費用対効果が高まる。この革新的なイノベーションは、エネルギー生産から輸送や農業での応用に至るまで、さまざまな分野にわたって幅広い応用の可能性を提供することが期待される。
この技術は、"Boosting the H2 Economy by Harnessing the Merits of Quantum Encapsulation Chemistry: Augmented Kinetics for Water Splitting Reaction Under Confinement" (量子カプセル化の化学活用による水素経済の活性化: 制限下での水分解反応の拡張動力学)というDSTの支援事業により開発され、特許も出願中である。さらに、水素貯蔵が不要な直接水素内燃エンジン技術の開発を視野に、さまざまな規模のエンジンやシリンダー、機能を持つ自動車でも実験が行われている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部