2023年12月
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効率的な熱伝達を可能に、ミニ/マイクロチャンネル熱伝達の方法開発 インドとUAE

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は、アラブ首長国連邦(UAE)のカリファ科学技術大学と共同で、優れた熱伝達性能とコンパクトなサイズを実現するミニ/マイクロチャンネル熱伝達技術を考案した。11月7日付発表。

技術の進歩に伴い、電子機器は高出力化と小型化が進んでいる。それに伴い、これらの装置を冷却するために効率的な熱伝導方法が求められている。これまでに、二相冷却、ジェット衝突冷却、スプレー冷却、ミニ/マイクロチャンネル熱伝達などの方法が検討されている。IIT-M応用力学部のR・ヴィシュヌ(R. Vishnu)氏らは、カリファ科学技術大学原子力工学科と、同じくUAEのエミレーツ原子力技術センターの研究者らと共同で、ミニ/マイクロチャンネル熱伝達についての研究を行った。

ミニ/マイクロチャンネル熱伝達は、優れた熱伝達性能、コンパクトなサイズ、熱負荷あたりの体積の小ささ、運用コストの安さなど多くの利点がある。一方で、その小さなサイズの中で生じる層流によって、境界層が形成され流体の混合と熱伝達が制限されることが課題だ。

研究チームは電気流体力学(EHD)に基づく渦を発生させることで、層流による制限を取り除く方法を考案した。この方法は、設計の簡単さ、制御の容易さ、応答の速さ、低消費電力、騒音や振動がないなどの利点がある。研究では、薄板電極を用いた能動的な渦発生が、境界層を効果的に現象させ、熱伝達を増大させることが示された。

米国のバージニア工科大学機械工学科のダネッシュ・タフティ(Danesh Tafti)教授は、「本研究はEHDを用いて熱除去を強化する新しい方法を研究することにより、電子機器の冷却という重要な問題に取り組むものです。研究で得られたのは重要な結果であり、他の受動的な熱伝達手段と組み合わせることで、さらに発展する可能性があります」と評価した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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