2023年12月
トップ  > インド科学技術ニュース> 2023年12月

部分的なスケッチを補完、CADモデルの検索システム開発 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)は、インドのタンガル・クンジュ・ムサリアル工科大学(TKMCE)との共同研究で、部分的なスケッチを使った新しい検索システム「SketchCADGAN」の開発をした。11月21日付発表。

ウェブ上で画像や音声、動画などのコンテンツをテキストベースで検索することは難しい。エンジニアリング・デザインに焦点を当てると、CADデータベースには数百万にも及ぶ膨大な量のデザインがあり、その中から目的のものを見つけるためには、効率的な検索システムが必要となる。

一般的にテキストベースの検索技術は、画像とテキストクエリの間に適切な相関関係がないため、3Dモデルへの適用が難しい。また画像ベースの検索技術も、クエリ画像とデータベース内の画像のヒストグラムに基づいて類似度を計算するため、通常は性能が低い。3Dモデルを直接クエリとして使用することも、ドメイン知識が必要であるため実現が難しい。

新しい検索システムでは、部分的なスケッチのアウトラインを描くだけで、データベースから関連する3次元CADモデルを検索することが可能になる。検索システムの性能は、ユーザが形状に関する詳細が不足していると感じる部分に追加マスクを組み込むことによって、大幅に向上させることができる。

このシステムは2段階のジェネレーター・ネットワークからなり、1段階目は、不完全なスケッチからCADモデルの画像を予測し、2段階目は予測データを完成したスケッチに変換する。他の手法との詳細な定量的・定性的比較が行われ、SketchCADGANが他の手法を大幅に上回ることが判明した。

フランスのパリ工科大学のアマル・デヴ・パラッカト(Amal Dev Parakkat)准教授は、「3D形状を検索する手段としてスケッチを使用することは、よく研究されています。既存の方法では、ユーザは対象形状の詳細を記憶し、スケッチする必要がありますが、今回のシステムでは、部分的に描かれたクエリスケッチを補完し、CADモデルのより正確な検索を可能にする、初のGANベース(生成モデルの一種)のモデルです。覚えている部品をスケッチすれば、あとはシステムが残りの作業を行い、目的のCADモデルを検索することが可能になります」と本研究の重要性を認めた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る