2024年01月
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SDGs達成へ、量子技術の標準化と自給自足が必要 インドの専門家ら提起

インドは量子技術の波に乗って、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一部を2030年の期限までに達成する可能性がある一方で、その実現のためには量子技術の標準化と自給自足が必要だと科学者や起業家が提起した。

インドでは気候変動対策、天然資源、衛生、水、健康、食料安全保障についてのSDGs目標を2015年に設定した。しかし、現在これらの目標の半分以上を達成していない。インドのバンガロールにあるインド理科大学院(IISc)のマヤンク・シュリバスタヴァ(Mayank Shrivastava)氏は、「量子テクノロジーには設定した課題に関する複数の解決策を同時に扱う能力がある」と語った。

SDGsの中には、SDGs7のエネルギーの安全保障とSDGs13の気候変動対策のように範囲が重なり解決策も重複するものがある。先端エレクトロニクス用の新素材、再生可能エネルギーの拡大、デジタル環境の安全確保など、量子テクノロジー主導のソリューションはこれらの相互にリンクした解決策の進展に取り組むことが可能だ。

一方でその道のりはまだ長い。シュリバスタヴァ氏は「安定したスケーラブルな量子コンピューターを設計することに関してインドはまだまだです。ノイズやエラーの発生率の高さや量子コヒーレンスの損失のために困難な課題があります」と語っている。また、シュリバスタヴァ氏は量子テクノロジーと古典的なシステムとの統合の必要性とその移行には堅牢なハイブリッド・アーキテクチャが必要だと指摘した。

インドにおける量子テクノロジーベースのアプリケーションの普及は、インドが特定の分野にのみ力を注いでいることを反映し、偏りがある状態だ。IIScのアリンダム・ゴーシュ(Arindam Ghosh)氏は、「量子テクノロジーに関する国際的なパートナーシップは、国内の進捗にリンクしていなければいけません。他国は戦略的に重要な技術は売ってくれません」と話す。インドのSNボーズ国立基礎科学センターのタヌスリ・サハ=ダスグプタ(Tanusri Saha-Dasgupta)氏は量子テクノロジーの優位性を最大化するために、国内の研究とイノベーションのエコシステム内で人々がよりよく協力し合えるような枠組みを作ることを促している。

科学誌nature indiaが2023年12月7日に伝えた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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