2024年01月
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人工ニューラルネットワークを、太陽光の水素製造システムに利用 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)の研究者らが、人工ニューラルネットワーク(ANN)を利用し、太陽エネルギーによる水素製造において、効率的な熱エネルギー供給を可能にするソーラー放物面集熱器(PDC)の熱流束と均一性係数の値を予測する方法を開発した。

太陽エネルギーは最も豊富かつ再生可能なエネルギー源である。太陽エネルギーを利用する方法として、鏡やレンズを使って広い面積の太陽光を小さな面積に集中させる集光型太陽熱発電(CSP)技術が知られている。効率的な熱エネルギー供給のためには最適な構成のPDCが必要になる。太陽エネルギーによる水素製造においては、酸化亜鉛/亜鉛の2段階水分解熱化学サイクルが使用される。このサイクルでは1段階目で酸化亜鉛が還元され、2段階目で水蒸気による酸化によって水素が発生する。このサイクルにおいても太陽エネルギーを効率的に利用するためにPDCが重要だ。

IIT-M機械工学科熱伝導・火力研究室のサーラブ・ジェイワント・モハイト(Saurabh Jaywant Mohite)氏とK.S.レディ(K. S. Reddy)教授は、熱化学反応器に必要な熱流束を生成するPDCの最適配置を決定するために、ANNを利用して光と熱の解析を行った。これまでにCSP技術にANNを利用した例はほとんどなかったが、PDCを最適に構成するためのレシーバー直径、ディッシュ直径、リム角の入力変数を考慮しながら、相関係数、二重平方根誤差などのいくつかの性能指標の決定に成功した。

インド工科大学デリー校(IIT-D)機械工学科のB・プレマチャンドラン(B. Premachandran)博士は、「太陽エネルギーを利用した水素製造は非常に魅力的なものです。太陽エネルギーを利用した水素製造には、熱化学反応器での高温運転に対応できるパラボラアンテナ集熱器が適しています。より良い水素製造のためには、PDCとレシーバーの構成の最適化が重要ですが非常に困難な問題でもあります。この研究はANNを用いてPDCの最適な構成を研究したものです」と研究の重要性を評価した。

(2023年12月12日付発表)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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