インド工科大学マドラス校(IIT-M)は1月2日、地震に対する構造物の応答スペクトル(UHRS)に対して厳密な数学的解析を行うことで、インド全土における地震ハザードに関する理論的な枠組みと、地図のゾーニングを開発したと発表した。
インドでは地震がめったに発生しないと考える人もいるが、ラトゥール地震(1993年)やブジ地震(2001年)、ネパール地震(2015年)など、実際には地震の被害は発生している。現在インドではIS1893という耐震設計のガイドラインが存在し、全国が4つのゾーンに分類されている。一方で、そのゾーニングには具体的な枠組みが適用されておらず、地震ハザードなどの理論的枠組みを使用した適切な地図のゾーニング、およびゾーンごとの耐震設計モデルの開発が求められていた。
IIT-Mのバルガヴィ・ポディリ(Bhargavi Podili)氏とS.T.G.ラグカント(S.T.G.Raghukanth)教授は、インド全体に対して幅広いUHRSに対してクラスター分析を実施し、エンジニアリングの観点からも設計の経済性を考慮した上で、合計で7つのゾーンに分類する方法を確立した。この研究で導出されたゾーニングは、建造物の耐震設計に加えて、リスク分析、土地計画などの調査にも拡張できる可能性がある。
インド工科大学ハイデラバード校(IIT-H)のスレンドラ・ナド・ソマラ(Surendra Nadh Somala)博士は、この研究の独自性について「現在使用されているインドの地震ゾーンマップは、過去4回の軽微な更新が行われたのみでした。今回の研究は、確率解析で導出されたUHRSに対する厳密な数学的評価に基づいて、国全体を7つのゾーンに分類しています」と指摘。そのうえで、「著者は粒子群最適化と呼ばれる進化的クラスタリングアルゴリズムを使用し、複数の検証指数を使用して最適なクラスター数を提案しました。結果の意義と既存のゾーニングとの比較という意味では、下位ハザードゾーンは現行のものと同等である一方で、上位ハザードゾーンでは現行のものより著しく高い設計値を必要とすることを示しています」と語った。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部