インド工科大学マドラス校(IIT-M)は1月9日、同大学のバルクリシュナ・C・ラオ(Balkrishna C. Rao)教授とドイツのライプニッツ大学ハノーバー校のインゴ・リーフナー(Ingo Liefner)教授がフルーガル・エンジニアリングを採用した新しい形の起業家精神に関する研究を行ったと発表した。
フルーガル・エンジニアリングは、最小限の資源を使用し、コストを削減しながら高品質の製品やサービスを生み出すプロセスである。こうした考えに基づき、これまで多くの先進的で低コストの製品(AFI)が産み出された。
多くの産業は、2つのタイプのビジネス組織に分類される。多国籍企業(MNC)や国家レベルの企業などを含む大企業(LE)と、中堅以下の企業を含む中小企業(SMB)である。LEは、フルーガル・エンジニアリングに投資する十分な資本を持ち、新興分野を最大限に活用するために必要な研究開発(R&D)に資金を費やすことができる。
一方で、資本の少ないSMBにおいてフルーガル・エンジニアリングを行うことに関して不利ではない。中小企業の利点は、最小限もしくは不足したリソースでもフルーガル・エンジニアリングを推し進めることができることである。
また、フルーガル・エンジニアリングの最先端の知識を利用するために、学術研究機関と交流し、協力することも可能である。さまざまなリソースへのアクセスが限られている中、SMBがこのようなコラボレーションを行うことは、AFIを生み出すことに役立つ。
起業家は、低コストな製品やサービスを開発するため、フルーガル・エンジニアリングの科学技術(S&T)の側面を理解する必要がある。
この分野の専門家である西スイス応用科学大学のフィリップ・レニエ(Philippe Regnier)教授は、「低コストな生産と消費は、持続可能な開発と密接に結びついています。質素倹約は、私たちの未来に向けた重要な提言であり、新しい形の起業家精神と商業化によって促進されるフルーガル・エンジニアリングであると考えられます。それは、ラオ教授が示したように、生産するための物流の削減や材料の削減、製品やサービスに投資する労働時間や資金の削減を意味します」と研究の重要性について説明した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部