2024年02月
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小さなひび割れの大きな問題、デジタル光弾性で解明 インド

インド工科大学マドラス校(IIT-M)の応用力学科の研究者らが、複合材料の接合界面に垂直に、荷重に対して異なる角度で終端する亀裂を研究し、応用拡大係数(SIF)の変化に関してデジタル光弾性を用いて明らかにした。1月16日付発表。

近年、構造用途における複合材料の使用は目覚ましい進歩を遂げている。今回注目したバイマテリアルは、エンジニアリングに使われる材料で、異なる材料を組み合わせたものである。圧力容器、セラミック・コーティングなど、幅広い用途があるが、製造上の欠陥、残留応力、繰り返しによる疲労負荷などにより、接合界面に亀裂が生じやすい。構造健全性と安全性を向上させるためには、これらの亀裂付近の応力分布を研究することが重要である。亀裂先端のSIFは、亀裂開始を規定する支配因子である。異なる荷重条件下の複数のバイマテリアルの組み合わせにおけるSIFの変化を理解することは重要である。

これまでにバイマテリアル表面に沿った亀裂に関する研究はいくつかあるが、バイマテリアル界面で終端する亀裂に関する実験的研究の文献は限られている。そこで本研究では、IIT−MのA.ヴィヴェカナンダン(A.Vivekanandan)氏とK.ラメッシュ(K.Ramesh)教授が、界面に垂直方向に発生し、かつ荷重に対して異なる角度で終端する亀裂について、SIFの変化をデジタル光弾性によって実験的に評価した。

亀裂には3つのモード(開き、せん断、引き裂)があり、一般的に1つの亀裂でもさまざまなモードが混合している。光弾性法は、亀裂先端の応力場を可視化し、亀裂先端のSIFを評価するための実績のある方法である。本研究では、2種類の異なる材料からなるブラジルディスク試験片(金属-高分子のペア、高分子同士のペア)が使用され、バイマテリアル界面に終端する亀裂の複雑な亀裂先端応力場方程式がIIT-Mのデジタルフォトメカニクス研究所で開発されたソフトで計算・評価された。

試験片にはさまざまな混合モードパターンが適用され、それぞれの界面SIF値が求められた。その結果、金属-高分子ペアの界面SIF値は、高分子-高分子ペアよりもはるかに高いことが分かった。界面SIFのピーク値は、亀裂の配向角が30度のときに観察され、0度や90度に近い角度では、SIF値はあまり顕著ではなかった。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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